アンプ仕組み

双二極真空管の整流

Fender Champ Clone使い
双ニ極真空管(GZ34S)を用いた整流の仕組みを確認します。

整流の流れ

真空管ギターアンプは動作させるには高いDC電圧が必要です。そのDC電圧を得るため整流回路が必要になってきます。
整流の大まかな流れは以下3ステップ。

  1. 電源トランスにて昇圧
  2. 昇圧した電圧を二極真空管にてAC⇨DC
  3. DCを平滑回路にて滑らかなDCへ改善

今回の記事はステップ2のDC360Vまで昇圧する過程を紹介します。
また、電源トランスの動作原理については以下の記事で紹介しています。

双ニ極真空管を用いた整流

下図はChamp Cloneの電源トランス出力以降の回路図です。回路中のDC360Vが出力される過程を今回の記事では紹介します。

先ず、トランス出力側5V・280Vを使用します。出力電圧は全てAC。

①エリアは整流管ヒーター電源。下図はGZ34S内部の模式図。AC 5Vは、2・8番ピンを通って整流管GZ34Sに印加、ヒーターが動作します。

②エリアは双二極真空管であるGZ34Sの整流作用により、直流に変換されます。


4・6番ピンに繋がった2つのプレートにはトランスで昇圧されたAC電圧がそれぞれに180度反転した状態で印加される(図1)。


プレートにプラスの電圧が印加された時に電子が動き、電流が流れる。


① 4番プレートにプラスの電圧が印加された時
は6番プレートから電流は流れない。
 (図2-1)


② 6番プレートにプラスの電圧が印加された時
は4番プレートから電流は流れない。
(図2-2)


③ ①②を繰返す事で8番ピンのカソード
には一方向の電流しか流れない。
つまりAC→DCに整流されている。(図3)

4番ピン、6番ピンのオシロスコープの電圧波形。180度反転して出力されている。

8番ピン(カソード)に出力される電圧波形。
プラス側の電圧が取り出せている事が確認できる。また60Hzの倍の120Hzで脈動していることも確認で真の直流にはなっていない。

まとめ

双ニ極真空管(GZ34S)を使った整流の仕組みを紹介してきました。以下、要点をまとめました。

  • GZ34S のヒーター電源の電圧は5V
  • プレートにプラスの電圧が印加されている時のみカソードへ電流が流れる
  • カソードへの電流は一方向しか流れない、その結果交流⇨直流に変化
  • 双ニ極真空管の中には2つのプレートが存在する

二極真空管にて整流され交流⇨直流になりましたが、オシロスコースの8番ピン(カソード)の出力波形のように脈動しており、直流としては不安定な状態です。これを平滑にし限りなく直線になるようにする必要があります。そこで使われている回路が「π型平滑回路」です。


次回はπ型平滑回路について紹介します。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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