Fender Champ Cloneを使って、双二極真空管(GZ34S)による整流の仕組みを確認します。
整流の流れ
真空管ギターアンプを動作させるには、高い直流電圧が必要です。電源回路では、次の流れで必要な電圧を作ります。
- 電源トランスで電圧を変換する
- 整流管で交流を脈流に変換する
- 平滑回路で脈流のリップルを小さくする
この記事では、GZ34Sによる全波整流の仕組みを見ていきます。整流直後の電圧には脈動が残っており、平滑回路を通して直流電圧として使える状態に近づけます。
電源トランスの動作原理については、こちらの記事で紹介しています。

双ニ極真空管を用いた整流
下図は、Champ Cloneの電源トランス出力から先の電源回路です。今回は、GZ34Sで交流を整流する過程を、回路図と波形を使って確認します。

トランスの二次側から、整流管のヒーター用に5V AC、高圧電源用に約280V ACを使用します。高圧巻線の電圧は、センタータップを基準にした値です。
①のエリアは、整流管のヒーター電源です。下図はGZ34S内部の模式図です。ヒーターには2番ピンと8番ピンの間に5V ACが加わります。なお、GZ34Sでは8番ピンがヒーター端子とカソードを兼ねています。

②のエリアでは、双二極真空管であるGZ34Sが交流を全波整流します。

4番ピンと6番ピンにつながる2つのプレートには、トランスから交流電圧が加わります。2つの電圧は互いに180度位相がずれており、一方がプラス側になると、もう一方はマイナス側になります(図1)。

プレートがカソードよりプラスになると、電子はカソードからプレートへ移動します。慣用電流の向きは電子の移動方向と逆で、プレートからカソードへ流れます。

① 4番ピンにつながるプレートがプラス側になると、4番側が導通します。このとき、6番側は導通しません(図2-1)。
② 6番ピンにつながるプレートがプラス側になると、今度は6番側が導通します。このとき、4番側は導通しません(図2-2)。

この動作を交互に繰り返すことで、8番ピンのカソードからは一方向の電流を取り出せます。このように、交流の両方の半周期を使って整流する方式を全波整流といいます(図3)。

下図は、4番ピンと6番ピンの電圧波形です。2つの波形が180度位相のずれた関係にあることが分かります。

下図は、8番ピン(カソード)の電圧波形です。電圧はプラス側に現れていますが、まだ平滑されていないため、波形には脈動が残っています。
今回の測定では、電源周波数60Hzの2倍にあたる120Hzで脈動しています。これは全波整流では、交流の1周期につき2回、電圧の山が現れるためです。

まとめ
今回は、GZ34Sを使った全波整流の仕組みを紹介しました。要点は次のとおりです。
整流しただけでは電圧が脈動しているため、平滑回路でリップルを小さくします。真空管アンプでは、コンデンサーとチョークコイル、抵抗などを組み合わせた回路が使われます。その一つが「π型平滑回路」です。
次回は、π型平滑回路について紹介します。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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